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未知の奥から歌がうまれて ~その三~

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対談バナー14新
その三
新しい出会い、そして、うまれゆくもの


村  このあいだのライブの中で初めてうかがったことですけど、例の
   3.11の時に一年間歌が作れなかったっておっしゃいましたね。
   実をいうと私も自分の場合踊りって何の役にも立たないって、あの
   時わかっちゃった気がしてしばらく踊れなくていたんですけど。
   因幡さんはあちらの出身だから特に強くお感じになったんですかね。

因幡 それもありますし、知り合いも被災したりしたこともそうなんです
   けれども、コンサートでも関西や九州よりも東北の方が言葉も伝わ
   りやすいし思いがすごく熱いんですよ。ただやっぱりコンサートの
   数的には絶対に関西や九州の方が多かったんですけど、きずいてい
   こうという思いがすごく合ってて特別なものがあったんです。
   なので被災地であるということがくやしいですよね。同じ東北人で
   ある人たちがいためつけられていてー

村  今度ありがたいことに10月8日のコンサートに私もちょっとだけ
   お話で出させていただいて、一曲だけ西崎櫻鼓が大切な「雪」とい
   う歌に踊りをつけさせていただくことになりました。ありがとうご
   ざいます。実は関西に地唄の「ゆき」という名曲がありまして、こ
   れは男の人と別れてしまって、ひとり寝のうちに尼さんになってい
   くっていう内容なんですね。ですから雪っていうと舞踊の人はあれ
   を思い出しちゃうんです。それとはまた違うものを作りたいと思っ
   ているし、紅白歌合戦なんかだと歌手さんの後ろでベタに踊りがつ
   いていると私としてはそれがただの説明になっちゃってたり、動く
   大道具みたいになってたり、その辺りが満足できない。そんなこと
   で今回はどんな風にやってみようかなと私なりに、どうやったらい
   いかなーって考えているところです。

因幡 楽しみですね。

村  今までそういったことはなさっていないんですか。バックに舞踊が
   つくとか、いわゆる異分野とのジョイントとか。

因幡 踊りっていう形はないんですけど、先ほど僕の歌には踊りが見えて
   くるっておっしゃっていただいた言葉をかえて色が見えて欲しいっ
   ていうか、絵でもいいし、動く映像でもいいし。いつもそう思って
   作品作りをしているんです。その一つが踊りっていうことで大丈夫
   なのかなって今すごくうれしかったんです。
   冒険的な事をやる中でいろいろな楽器とのコラボレーションはやっ
   てます。「わかって下さい」を35周年のアルバムに入れたやつは
   中近東のウードっていう楽器、あれは音色聞いただけで中近東の音
   なんですよ。その文化が見えるんです。そこに僕の日本語が融合で
   きるものかっていう…。それがまた合うんですね。エリアは同じな
   んですけど「さくらの歌」の中で中国の二胡、あれも合うんですね。

村  そうでしょうね。

因幡 そういうものをやってみるってことが、違うものとのコラボレー
   ションで何か生まれるんじゃないかと、そういうトライは忘れず
   欠かさずやろうと思っています。

村  そうですか。今度その映像部分に挑んでいただきたいと思っている
   んですけど。今、私の友人が舞踊の映画を作れっていってくれてい
   るんですけどね。僕はこの際お願いしちゃおうと思ってますけど、
   日本舞踊って華やかに見えますでしょ、例えば「藤娘」「鷺娘」って
   有名な曲で、すごく華やかな踊りに見えるけど実は女心のせつない
   踊りなんですね。で、せつないのをせつなく踊るんではなくて、か
   えってあっけらかんと悲しいのを楽しいような顔をして踊るように
   出来ているんですね。これを残念なことに三味線の唄ってお客さん
   が聞き取れないんですね。意味をね、まったく聞き取れない。だか
   ら普通の女性の悲しみを歌っているにもかかわらず感じ取ってもら
   えないんですね。それなんで逆に言うと因幡さんのような方が例え
   ば「藤娘」に語られているテーマをどう感じてどう歌い変えていく
   かっていうか、因幡さんの歌としてやっていただくと例えば「因幡
   藤娘」って変ですけど(笑)。そんな曲をですね、組曲でもいいし、
   作っていただいて、それをね、映画の中で流したいって思うんです。
   そういうのがやれたらなって。どうですか?

因幡 面白いですね。

村  この際、誘惑しますけど(笑)。僕は因幡さんの作品世界、歌い方は
   非常に日本舞踊の女性の情念にぴったりだと思ってるんですね。
   その辺りでご協力いただければって。
   ところで因幡さんの40周年に向けての思いは?

因幡 35周年の時もそうでしたが、もうそんなたっちゃったのかって。
   40周年はもっとそれを感じています。狼狽えないようにしなければ
   なっていうのと、それにはライブと曲作りを充実させていかなきゃい
   けないって、それだけしかないですね、僕はね。
 
村  なるほど。

因幡 ただそれをやり続けていくってことが大変であって。

村  うんうん。35周年の時は「まん丸の蒼い月」っていうアルバムを出
   されましたね。40周年にもきっとお出しになるわけですよね。

因幡 そうですね。まだ輪郭がはっきりしていませんが。

村  まだ半月くらいですかね(笑)。もうひとつの満月をー。

因幡 僕は悲しい歌を書いてきたんですけど、一番悲しいことをまだ体験し
   ていないんですよ。この歳になって嬉しいんですけど両親が健在なん
   ですね。兄弟も生きてますし。一番辛いことを経験していなくて有り
   難いんですけど、それはずっと続く訳ではない、その時に初めて一番
   悲しくなかったのに悲しい歌作ってきた自分は何だったのかなって。
   そしてその時にもし生まれてくる作品が、どういうものなのかなって
   いうー。
   村さんがおっしゃったように「藤娘」が悲しいんじゃなくて、それを
   大らかにね、でもその裏の辛さっていうか、そういうものを、後から
   じわっと来るのかななんて。そういうものが作品の中にもしかしたら
   反映されていくのかなって。これはこないわけにはね。

村  そうですね。あまり願いたくないことですね。

因幡 そうとも言えなくなってくるんじゃないですかね。やっぱり両親とも
   九十過ぎるとね。

村  確かにそうですね。私も実は感じていますけど。因幡さん、ある悲し
   い歌を作っている中で、前はちょっと背伸びをしてる自分を歌ってた
   気がするけど、35周年以降ですか、等身大のご自身になったとおっ
   しゃって「少しだけ泣いてもいいですか」ってね。あのフレーズはす
   ごくいい!こたえますね。男性が言うから余計こたえますよね。

因幡 うんうん。

村  なかなか言えないですよね。

因幡 言えない。だから僕らだから言えるっていう。役者が平気で泣いてい
   る時と一緒で、僕らが言葉を発してそして歌をやるっていう。僕らに
   しか出来ないことでしょうね。

村  そうですね、うん。

因幡 みんなもわかってるけどね、確かに涙もでるしー。でもちょっと因幡
   言えねえよっていう。でもね、隠れて涙拭きますよね。

村  そうそう。ああいうのを言ってみてしまったっていうのが切実でね。

因幡 あれはだからとっても大きな35周年で、自分の中の違う殻をひとつ脱
   いだのかなっていうー。もうひとつ脱がないといけないですね。

村  あー(笑)。40周年に何をお脱ぎになるか!プレッシャーかけちゃい
   けないけど(笑)、とても期待して、新しく私たちと何回かお付き合い
   いただいてー。うちの方では因幡さんに来年の三月二日の浅草公会堂
   での「春の会」にご出演いただくという企画もございますので、今後
   ともちょっとの間、それから末永くお願いします。

因幡 何か盛り上がるのを期待しています。

村  ぜひにぜひに、そう思っています。

 

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