矢之輔×國太郎×村 対談其の一

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其の一
『 お正月、東京・京都 ふたつの都で鼓登治振付の新作歌舞伎!』


 今年前進座の創立80周年ということで、私は久しぶりに振付をさせていただいているんですが、「明治おばけ暦」と「髪飾不思議仕掛」と振付を担当した二本がお正月に東京と京都で上演されるというめでたいことになりまして、そんなご縁で今回の季刊誌にはこれから前進座を担っていかれるお二人に出ていただいて、抱負や今回のお芝居のことを語っていただこうと思います。

矢之輔 國太郎 よろしくお願いします。

 「明治おばけ暦」は「ゲゲゲの女房」の山本むつみさんの原作でしたね。國太郎さんは女方のイメージがあると思うんですが、今回は河竹新七。のちの河竹黙阿弥という男性役でしたけれども、ああいう役は?

國太郎 いや。全然多くないです。(笑)はじめてに近いです。

 そうですよね。最後は年をとって出ていらしてましたよね。僕も珍しい思いで見てたんですけど。

國太郎 そうですね。楽しかったですね。立ち役も色々、手代とかお侍さんの若衆とかはやったことありましたが。

 いい男とか、白塗りとかね。

國太郎 どっちかというとね。

 ああいう老けというか、中年の役は。

國太郎 出てるときから50代でしたからね。50代から60代というのははじめてでしたね。

 どうですか?生理的には?

國太郎 でもだんだん実年齢に近づいてきているということで。

 前進座自体が第三世代になって、お二方が特にこれから中心になっていかれると役のレパートリーが、今までやってた例えば悪婆物の役だけではなく、ああいう事までやらなきゃならないということになっていくのかしら?

國太郎 なるかもしれないですね。

 國太郎さんとしてはああいうお役がついたら積極的にやっていこうという。

國太郎 何でもやります。前進座の場合歌舞伎だけってわけにもいかないし、そういう歴史があるわけだから。色んなジャンルの芝居もやって。
当然女優さんと一緒にやることもあるわけだから。女優さんとやって女形やることもあるだろうし、女優さん相手に立ち役やることもありますからね。幅広くやっていかないと。

 この間は大衆演劇の松井誠さんとなさいましたね。これから異なるジャンルの役者さんたちとのお芝居も多くなっていくんでしょうかね。

國太郎 そうなっていきたいですね。今度は千種という、原作でいえばロクサーヌという役を日本版に書き換えているので千種という名前の役をやります。基本的に台詞も同じなんですよ。

 で、洋物の?

國太郎 いや。幕末なんです。白野弁十郎。

 あー白野弁十郎。そうなんだ。たとえば坪内逍遥の訳だとかそういうことではないんですか。

國太郎 そういうのではないんです。新しい翻訳の。

矢之輔 島田先生の。

 新国劇でなさった。じゃあ若獅子の会ですか。それに客演なさる訳ですね。これから色んな役をやっていただきたいと思いますね。でも一方で前進座の歌舞伎の先代の国太郎さんがやっていたお役を益々。

國太郎 そうですね。やっていかなくちゃいけないですね。

 ああいった普通の女形と悪婆というのはどういうふうに違うんですかね?

國太郎 思いが強いと思いますね。まあどの役も思いは強いんですけど、ほんとに根っからの悪婆物ってあるじゃないですか。高橋お伝なんかや。お富さんにしろ十六夜にしてもすごく相手の事が好きなんですよね。そのために悪事の道に入っていくというか。だから一途で純粋なところが強いと思うんですよ。

 心は純情で恋人のために悪事にも手を染めてしまう。自分のためじゃないんですね。

國太郎 そう思います。そこらへんが悪婆物の面白いところじゃないですかね。

 先代からは何かこうしろああしろということはあるんですか?

國太郎 いや悪婆物に関しては聞いた事ないですね。まさかやるなんて思ってなかったんじゃないですか。あれ私のもんだいみたいな。

 (大笑)生前は娘の方ばかりでしたもんね。そうでしたか。國太郎さんも女形さんでいながら、この間もお稽古を拝見しているとまだ若い方々を一人一人こと細かく、厳しく。

國太郎 いやそんな。なかなか大変なんですけどね。教えるなんておこがましんですけどね。人に伝えるってすごく勉強になるんですよね、自分にも。だからそういうことをやっていかなくちゃいけないだろうし、今までは矢之輔さん一人にまかせっきりだったからね。
この間みたいにいないときには、誰かがやんなきゃいけないだろうし。自分が教わってきたことを少しでも次の人に伝えて。そしてそういうことを伝えられる人がもっと増えていってくれないと。どんどん次にやっぱね。伝えていかなきゃいけないものだから。

 矢之輔さんも今当然のごとく。歌舞伎というとこちらでは矢之輔さんが。本当はもっと罵声が飛ぶんじゃないかと。今回優しいという皆さんから評判なんですが。

矢之輔 今回皆頑張って、それぞれが挑戦してるから面白いなと思ってね。だけど今日なんかはね。こんなに時間経って明日もう通しなのになにやってんのかなってちょっと声が荒くなるでしょ。荒くなるとお師匠さんすぐ出てきてあのそこはですねって後取ってくれるから。助かった助かったって。

 微調整しました。(笑)

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